2021年4月22日木曜日

『子宮体がんについて』


新しい話題ではありませんが知っていただきたく、“子宮体がん”についてお話します。

近年、増加しているがんのひとつです。

40歳代後半から増加して50歳代から60歳代にピークを迎えるといわれています。


「子宮体がんの検査をしてください!」

このような受診が急に多くなった時期がありました。

出血や腹痛などの症状はないようです。

年齢も比較的お若いかたも多く、不思議なので聞いてみました。

「どうして子宮体がん検査をうけようと思われたのですか?」

「え!先生、“逃げ恥”みてないのですか?」

“逃げるは恥だが役に立つ”のドラマで、石田ゆり子さん演じる、

百合ちゃんが子宮体がんだったので心配になり受診されたとのこと。


「ドラマで、子宮がんは“子宮頸がん”と“子宮体がん”の2つあるってこと知りました・・・」

「人間ドックや市の健診は、“子宮頸がん”検査だけなのですね。」

「出血があってもがん検査でひっかかってないので大丈夫! 私は子宮がんじゃない!

 という考えは違ったのですね」

・・・・・・・・・・・・

学会はもちろんのこと、現場のわたしたちも啓蒙しているつもりですが、

テレビの影響力にはかないません。


いわゆる“健診(人間ドックや市の健診)”のほとんどは“頸がん検査”のみです。

なぜ、“体がん検査”をしないのですか?

答えは以下になります。


〜日本産科婦人科学会/日本産婦人科医会監修

「産婦人科診療ガイドライン」より〜


①子宮体がんスクリーニングは本来の検診とは趣を異にしている

②年齢を考慮せずに無症状女性にあまねく検診をすることは

 有効性が確認できていないことおよび費用対効果の点から容認されない


“健診”で“体がん検査”を行ってない施設が大半です。

当院も“健診”というかたちでの“体がん検査”は行っておりません。

“体がん”検査を勧める自治体もありますがまだまだ少数です。

しかしながら、増加傾向にある“体がん”・・・・

知っていただく方法として、当院では婦人科疾患パンフレットを作成し

健診のかたにはお渡しすることにしました。

(健診以外のかたもご希望があれば差し上げますのでお申し出くださいませ)

その中にも記載していますが、

下記のかたには健診のオプション検査である、

超音波検査(エコー検査)をぜひお勧めしております。


【体がんの高いリスク因子】

・未婚

・不妊

・初妊年齢が高い

・出産数が少ない

・30歳以降の月経不順

・糖尿病

・高血圧

・肥満


健診での超音波検査で、子宮内膜になんらかの異常(肥厚など)があれば、

改めて婦人科の外来に来ていただき、“体がん検査”を行っています。


もちろん!

性器出血(一過性の少量出血でも)の自覚症状のあるかたは、

必ず婦人科外来に来ていただきたいものです。

症状がないかたでも、健診と同日でなければ検査は可能です。


とはいえ・・全てのかたの検査が可能なわけではありません。

帝王切開分娩やお産してから時間が経ったかたなどは、

子宮口が狭くなり、検査器具が挿入できず検査はできません。

その際、当院では超音波検査やMRI検査で確認をしております。

特にMRI検査は、早期がんの診断の手助けに一役担っております。

“子宮体がん”は早期に発見されると比較的予後のよいがんです。

出血やおりものを気のせいと思わないでくださいね。

検査が不安なかたは相談してみてください。


婦人科疾患におけるMRIの有用性についてはまたお話したいと思います。


牧野郁子



 












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