婦人科医師 牧野です。
沖縄で仕事をしていた時、高齢女性の元気に驚かされていました。
日に焼けた笑顔がとてもまぶしく、80歳過ぎても炎天下のなか、
さとうきびつくってるさ〜と・・・。
一方、若い妊婦さんたちの肥満と糖尿病/妊娠糖尿病(注釈1)の
多さにもとても驚きました。
妊娠中はインスリン使用などの血糖管理をしなければなりません。
あかちゃんも大きくなり難産の可能性も増えてきます。
せっかくの楽しい妊娠生活は苦労ばかりになってしまいます。
高齢者と若年者のあいだの健康解離はなんだろう?
私見です。
“食べもの”が関連しているのではないでしょうか?
沖縄ではファーマーズ(採れたて野菜の直売所)に行くことが
楽しみのひとつでした。
本土に売ってないめずらしい野菜が並んでいます。
シマナー、はんだまのおひたしや酢の物、ニガナの白和え、
島らっきょうの塩漬け、ナーベラー味噌煮、ゴーヤチャンプル、
人参しりしり、パパイヤイリチー・・・
沖縄の野菜たちが食卓に並ぶようになりました。
からだも喜んでいるようで年齢以上によく動きました。
これらが、おばあたちの健康のもとなのだな!と実感。
沖縄も広島と同様、戦争のかなしい歴史があります。
1945年から1972年の27年間、アメリカに統治され、
さまざまな文化も入ってきたそうです。
食事でいえばジャンクフード。
A&WやJimmy’sは代表的なものでしょうか。
私も大好きでしたがマフィンやケーキのカロリーはすごそう。
ちなみに体重がどんどん増えていく若い妊婦さんの、
愛好食はA&Wで、フライドポテトが特にお気に入りでした。
沖縄野菜を勧めましたが、
沖縄のかたがゴーヤを好きとは限りません。
食習慣について改めて考えさせられました。
広島は?
広島で仕事をするようになって一番に感じたこと。
それは、広島の高齢者は、沖縄にくらべると元気がないことです。
調べてみると、寿命はながくても介護が必要な期間がながい、
つまり「健康寿命」が全国で一番短い県だったのです(図1)。
女性の場合、介護は骨折がトリガーとなります。
これは高齢者の話でしょ!
食べ物とは関係ないわ!と思われるでしょうが、
“骨活(骨つくり)”は思春期からはじまっているのです。
つまりみなさんの輝かしい老後は、
思春期の過ごし方に関連しているのではないかと考えます。
そこで、
とくに20歳までのみなさんに知ってもらいたいことです。
骨密度はだいたい20歳がピークであること(図2)
キープしなければ減少していきます。
元気な高齢者になるために、20歳までにやっておくこと、
① 運動
② 食事の管理
② 生理不順に気を付ける(とくに3ヵ月生理がないと要注意)
ついでにビタミンD 摂取のため日光浴も。
美白も素敵ですが、
若い時はお日様のもと、しっかり運動をしたいものです。
涼しくなりましたので
看護師の池田さんのようにお散歩もいいでしょう。
府中市民病院では、こんなお話を専門家から聞ける準備をしています。
私のようなずぼらさんでも実行できるものを考えています。
11月にはホームページを立ち上げ予定です。
どんな運動したらいい?
何を食べたらいい?
骨の検査をうけたいけどどうしたらいい?
生理不順はなにに気を付ければいい?
こんなお話を紹介していく予定です。
府中市の栄養士さんにお誘いをいただき、
こんど彼女と一緒にある高校のみなさんにお話をする予定です。
みなさんが聞いてよかったなと思えるありきたりでない、
そして未来に役立つような、
お話が出来たらいいなと思っています。
【注釈】
1) 妊娠糖尿病
妊娠してから初めて糖代謝異常(高血糖)を発症した人につく病名です。
既に糖尿病を発症している人が妊娠した場合は「糖尿病合併妊娠」といいます。
図1
女性の不健康期間が長い都道府県
図2
年齢と骨量のグラフ
公益財団法人骨粗鬆症財団パンフレット「骨粗鬆症の予防は成長期から」より引用